第6回 暮らしを守る防災情報を日頃の備えに生かす

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第6回|マンション防災

暮らしを守る防災情報を日頃の備えに生かす

ハザードマップ、キキクル、東京都・区市町村の防災情報、災害用伝言サービスを、マンションでの判断と行動につなげます。

2026年(令和8年)9月時点
国、気象庁、東京都、区市町村、通信事業者などは、災害から身を守るための情報や安否確認手段を幅広く提供しています。大切なのは、平常時に自宅周辺の危険を調べ、必要な通知を設定し、家族や管理組合で確認方法を共有しておくことです。日頃の準備が、災害時の迅速な判断と行動につながります。
最初に押さえたいこと
ハザードマップは将来起こり得る被害の想定、キキクル等は現在から数時間先の危険度、自治体の避難情報は住民に求める行動を示します。どれか一つだけで判断せず、複数の公式情報を組み合わせます。

1 防災情報は「平常時・災害接近時・発災後」で使い分ける

平常時:自宅周辺の危険と避難先を調べる。

災害接近・発災時:最新の気象・避難情報を確認し、行動を判断する。

発災後:家族の安否と生活に必要な情報を確認する。

情報主な役割確認する時期
ハザードマップ洪水、内水、高潮、津波、土砂災害等の想定区域・深さ、避難場所・避難所を知る平常時
気象庁の防災情報・キキクル大雨、洪水、土砂災害等の危険度の高まりを確認する災害の接近前から発生中
自治体の避難情報高齢者等避難、避難指示、避難所開設等を確認する災害の接近前から発生中
171・web171通信が集中した際に家族等の安否を登録・確認する大規模災害時

2 平常時にハザードマップで「自宅の条件」を確認する

国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」では、「重ねるハザードマップ」と「わがまちハザードマップ」を利用できます。全国共通の地図で災害リスクを確認した後、自治体が作成するハザードマップで避難場所・避難所、避難経路、地域固有の注意事項を確認します。

ハザードマップの掲載例(浸水想定)

江戸川区水害ハザードマップ。荒川氾濫時の浸水想定区域の一部。荒川・中川・新中川と江戸川区内の浸水深が示される
荒川・中川沿いの地域の例。画像は江戸川区水害ハザードマップ「荒川が氾濫した場合」の一部です。中川が氾濫した場合の図も別に確認してください。画像は説明に必要な範囲を抜粋したものです。着色は荒川氾濫時の想定浸水深を示し、実際の被害範囲ではありません。

水害で確認する項目

  • 洪水・内水・高潮の想定浸水深
  • 浸水継続時間
  • 家屋倒壊等氾濫想定区域
  • 避難先までの経路と橋・地下道
  • 敷地と避難経路が浸水する範囲

地震で確認する項目

  • 地域危険度、揺れやすさ
  • 延焼火災の危険
  • 地震・火災に対応する避難場所
  • 敷地周辺の液状化リスク
  • 避難場所までの経路

マンションでのポイント:上層階の住戸が直接浸水しなくても、受変電設備、給水ポンプ、エレベーター、機械式駐車場等が浸水したり、停電の影響を受けたりすると、建物全体の生活機能が低下することがあります。各住戸は自宅の浸水リスクと避難先を調べ、管理組合は共用設備の位置と浸水対策を確認します。

3 キキクルと気象情報で「いまの危険」を確認する

気象庁の「あなたの街の防災情報」では、警報・注意報、雨雲の動き、台風、河川の洪水予報などを地域ごとに確認できます。「キキクル」は、土砂災害、浸水害、洪水災害の危険度を地図上に段階表示する情報です。

キキクルの表示例(過去の実例)

浸水キキクル:2026年8月13日21時(令和8年8月千葉豪雨)

令和8年8月千葉豪雨の2026年8月13日21時における浸水キキクル。千葉県を中心に危険度が黄・赤・紫・黒で示されている実際の分布
実際の危険度分布を1点掲載。出典:気象庁「令和8年8月千葉豪雨」(2026年9月16日)p.8(浸水キキクルの21時の画像をPDFから抽出。地図出典は画像内に表示)。過去の事例です。災害時は最新のキキクルを確認してください。

危険度が高まってから初めて避難先を探すのでは、間に合わない場合があります。夜間や暴風雨の中での屋外移動は危険を伴うため、自治体の避難情報、気象庁の警報・キキクル、河川水位、マンションの立地、家族の状況を踏まえ、早めに行動を判断します。

注意:キキクルは危険度判断を支援する情報であり、個々の建物の安全を保証するものではありません。画面上の色だけでなく、自治体の避難情報と現地の状況を確認してください。

4 東京都とお住まいの区市町村の情報を重ねて使う

東京都防災アプリで広域の災害情報や水害リスクを確認し、お住まいの区市町村の公式サイトで避難情報や避難所の開設状況など地域の詳細を確かめます。以下は江戸川区を例にした、平常時の確認先の組み合わせです。

東京都:広域の災害情報・水害リスク。公式のアプリ案内
江戸川区(例):地域の避難情報・開設状況。区の防災ポータル

東京都で広域を確認 → 区市町村で自宅周辺を確認 → 家族の避難行動を判断

両画面は確認項目を示す独自の模式図です。実際の画面構成や情報の表示状況とは異なります。必要な区市町村の地図は、東京都防災アプリで平常時にダウンロードできます。

5 避難先・医療・給水・物資の確認先を控えておく(江戸川区の例)

「避難場所」と「避難所」は役割が異なります。指定緊急避難場所は洪水や火災等の危険から緊急に身を守る場所で、対象とする災害の種類を確認します。指定避難所は自宅で生活できない人などが一定期間滞在する施設です。同じ学校等が両方に指定される場合もありますが、災害の種類や開設状況を確かめてから向かいます。

事前に調べるもの江戸川区での確認例・記録する内容
避難場所・避難所区の「避難所・避難場所の検索」で自宅周辺の候補を複数確認。名称、住所、対象災害、徒歩経路を控えます。避難所は安全確認後に順次開設されるため、発災時には区防災ポータル等で開設状況を確認します。
大規模水害時の区外避難先江戸川区は大規模水害で長期の浸水を想定し、早期の自主的な広域避難を呼びかけています。浸水しない区外の親戚・知人宅や宿泊先、その連絡先、移動手段を事前に決めます。
救急医療機関・緊急医療救護所普段受診できる救急医療機関と電話番号を控えます。大規模災害時には緊急医療救護所が開設される場合があります。開設場所、受診方法は発災時の区の案内を確認してください。
給水拠点・給水車東京都水道局の災害時給水ステーション地図で最寄りの拠点と運搬経路を確認します。区内には西瑞江給水所等があります。給水車の臨時配備場所や給水時間は事前に固定できないため、発災時に水道局・区の発表で確認します。
救援物資・生活支援近隣避難所の場所と区防災ポータルを控えます。食料・生活用品の配布場所、対象者、受取方法は災害ごとの案内で確認し、特定の避難所で必ず受け取れるとは想定しません。在宅避難中も情報を得られるよう、管理組合の掲示・連絡方法を確認しておきます。

家庭用の控えを作る:候補の名称・住所・電話番号、地図、徒歩経路、対象災害、家族の集合場所、区防災ポータルと東京都水道局の確認先を紙とスマートフォンの両方に保存します。施設の連絡先が分かっていても、災害時の開設や受入れを電話だけで判断せず、公式の発表を確認してください。

6 家族の安否確認方法を決める

災害時に電話がつながりにくい場合に備え、家族で伝言を残す番号と集合場所を決めておきます。災害用伝言ダイヤル171は音声、web171は文字で安否を登録・確認できます。体験利用日には家族で操作を試しましょう。

NTT 災害用伝言ダイヤル171 / web171

7 防災行政無線とラジオでも情報を受け取る

防災行政無線は、区が屋外スピーカーなどを通じて避難情報や緊急情報を知らせる仕組みです。江戸川区の例:聞き取れなかった放送を区防災ポータル・防災アプリの音声や文字、防災放送確認ダイヤル(03-3652-1284)でも確認できます。建物内や風雨の中では聞こえにくいため、複数の確認手段を用意します。

防災ラジオは停電・通信障害時にも放送を聞くための備えです。乾電池式など電源を確保できる機器を用意し、平時にFMえどがわ(84.3MHz)を受信できるか確認します。江戸川区では緊急情報を受信すると自動起動する「緊急告知FMラジオ」の案内もあります。一般的な防災ラジオがすべて自動起動するわけではありません。

8 管理組合で共有しておきたい情報

  • 災害対策本部や管理員室で確認する公式サイト・アプリ
  • 居住者へ情報を伝える方法(館内放送、掲示、安否確認票、メール等)
  • エレベーター停止、断水、排水制限等の周知文例
  • 要配慮者への声かけ担当と連絡方法
  • 避難情報が出た場合の共用部閉鎖、止水板設置等の判断基準
  • 通信不能時の集合場所と紙による情報掲示場所

管理組合が入手した情報を独自に断定・加工して伝えると、誤解を招くことがあります。発表主体、発表日時、対象地域、情報の種類を併記し、公式情報へのリンクやQRコードを示すと分かりやすくなります。

安否情報と個人情報の取扱い
安否確認票や要配慮者名簿を作成・利用する場合は、利用目的、閲覧できる人、保管方法、更新・廃棄のルールを管理組合で定めます。氏名、住戸番号、健康状態、連絡先等を、本人の意向を確認せず掲示板や一斉メールで公開しないよう配慮します。

9 平常時に行うチェックリスト

  • 自宅の洪水・内水・高潮・地震リスクを確認した
  • 想定浸水深だけでなく浸水継続時間も確認した
  • 避難先を一つに決めず、複数の選択肢を確認した
  • 避難場所と避難所の違い、対象災害と開設情報の確認先を控えた
  • 救急医療機関・緊急医療救護所・給水拠点の場所を調べた
  • 給水車や救援物資の配布場所は発災後に公式情報で確認すると決めた
  • 東京都とお住まいの区市町村の防災アプリ・サイトを確認した
  • 必要なオフライン地図をダウンロードした
  • 気象庁キキクルをお気に入り登録した
  • 171・web171で使う電話番号を家族で決めた
  • 家族の集合場所と連絡が取れない場合の行動を紙に書いた
  • モバイルバッテリー、防災ラジオ、乾電池を点検した
  • 管理組合の情報掲示場所と安否確認方法を確認した

10 公式サイト・サービス

記事の取扱いについて
本記事は、2026年9月時点の公表資料をもとにした一般的な解説です。災害時は現地の状況と行政の最新情報を確認し、早めに安全を確保してください。
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