第5回 進化する防災用品

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第5回|マンション防災

進化する防災用品マンションの在宅避難に役立つ製品例

製品例の特徴と注意点を知り、各住戸の備えを具体化する。

2026年(令和8年)9月時点
長時間の停電に対応できる非常用電源や、断水時にも給排水設備を継続して使用できる設備、十分な収容力を備えた防災倉庫を有するマンションは、まだ限られています。そのため、マンションの防災対策では、管理組合による共用部分の対策に加え、各住戸が専有部で備えを進めることが重要です。

本記事では、近年、より便利で設置・使用・保管がしやすくなっている防災用品について知っていただき、管理組合および各住戸における防災対策の検討に活用していただくため、2026年9月時点で確認できた製品例と、選定・使用にあたっての注意点を整理しています。

掲載製品について
掲載している製品は、防災用品の選択肢を紹介するための一例です。特定の製品を宣伝・推奨するものではなく、製品情報の最新性、価格、在庫、性能、安全性等を保証するものでもありません。仕様・数値・使用方法等は、原則として各メーカーが公表する情報を要約したもので、当事務所が独自に試験・検証した結果ではありません。導入にあたっては、建物の条件や利用目的を確認し、メーカーの最新情報、取扱説明書、リコール情報、必要な認証・検定等を確認してください。

1 災害の種類と防災対策用品

1.1 開口部からの浸水を抑える

水で膨らむ簡易土のうと、軽量・折り畳み式の簡易止水板

全体説明:開口部からの軽度の浸水を抑えるための用品です。各住戸は玄関など、管理組合はエントランスや機械室などの開口幅・想定水深・床勾配を確認し、事前に設置手順を試します。

個別製品:
① アイリスオーヤマ「簡易土のう」:吸水して膨らむため、土砂の準備が不要です。
② キタリア「簡易止水板 WSP-6045」:2枚組の折り畳み式。収納時は1枚当たり厚さ約10mm、2枚組で約900gです。
③ 日大工業「備えあれ板」:1枚約2.3kgの折り畳み・連結式。広い開口部では必要枚数を確認します。

選定・使用上の注意:価格、対応水深、床面条件、重しの要否は製品ごとに確認してください。いずれも完全な止水はできず、排水口からの逆流には別の対策が必要です。危険な豪雨時に設置へ向かわず、設置の判断基準を事前に決めます。

アイリスオーヤマ 簡易土のう公式情報 / キタリア 簡易止水板公式情報 / 備えあれ板公式情報

1.2 初期消火を補助する

棒状・軽量の補助消火具

製品例:FIRE SHOKA STICK FSS100(2026モデル、約365g、全長約330mm、保存期間15年)

注目点:安全ピンを抜き、底部を擦って噴射する棒状タイプ。粉末を使用しないため、粉末消火器に比べて使用後の粉末汚損を避けられます。使用できる火災の種類や消火能力は製品表示で確認してください。

活用の考え方:各住戸のキッチン出口側や管理室に、法定・既設消火器を補完する追加装備として配置。購入時に実演・訓練と廃棄方法まで確認します。

選定・使用上の注意:「消火器」ではなく補助的な消火具です。消防法令上必要な消火器を置き換えません。炎が天井に達したら消火を中止し、避難・通報を優先します。

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1.3 停電時の明かりを確保する

小型・折りたたみ式LEDランタン

製品例:CARRY THE SUN Medium(折りたたみ式ソーラーランタン)

注目点:空気を入れて立体化し、収納時は薄く折りたためる太陽充電式。電池在庫に依存せず、柔らかな面発光で室内全体を照らしやすい製品です。

活用の考え方:各住戸の窓辺で平時から充電し、寝室・トイレ・食卓用に配置。別途、乾電池式ライトも残して電源方式を分散します。

選定・使用上の注意:太陽充電は天候と設置条件に左右されます。長期保管中も定期的に充電・点灯確認し、避難時の足元照明には懐中電灯も併用します。

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1.4 飲料水を住戸内に備える

長期保存水と日常使いの水

製品例:アイリスオーヤマ「アイリスの長期保存水」(2L・保存目安5年)

備え方:飲料・調理用の水は1人1日3Lを目安に、最低3日分、できれば7日分を各住戸で確保します。普段飲んでいるペットボトルの水を少し多めに買い、古いものから使って同じ量を補充すれば、特別な保存水だけに頼らず備えられます。

選定・保管上の注意:長期保存水は交換回数を減らしたい場合の選択肢です。どちらも製品の賞味期限と保管条件を確認し、直射日光や高温を避けて保管してください。飲料水とは別に、トイレや清掃等に使う生活用水も検討します。

アイリスオーヤマ 長期保存水の公式情報 / 内閣府 飲料水とローリングストックの説明

1.5 給水拠点から水を運ぶ

折りたたみ式給水袋・背負える給水バッグ

全体説明:給水拠点から水を運び、生活用水を一時保管するための用品です。水1Lは約1kgのため、各住戸では運べる重さと階段の利用を想定して選びます。

個別製品:
① Nesekt 10Lウォーターバッグ:折り畳んで収納できる給水袋。満量が重い場合は5~7L程度で運びます。
② 背負い式給水バッグ:両手を空けて運びたい場合の選択肢。製品ごとの容量・背負い心地を確認します。

選定・使用上の注意:飲用に使う場合は飲用水対応の表示、洗浄・乾燥方法、保管可能期間を確認してください。長期保存には、その用途に適した容器を使います。

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1.6 停電時に住戸内の電源を確保する

リン酸鉄系ポータブル電源

製品例:Jackery 1000 New V3(1,024Wh・定格1,500W)

注目点:リン酸鉄系電池を採用し、急速充電や停電時の電源切替などの機能を備えています。切替時間と接続機器との適合は仕様で確認してください。

活用の考え方:管理室は通信・照明用、各住戸はスマホ・ラジオ・医療介護機器を優先。使用機器のW数×時間で必要Whを算定し、メーカーの取扱説明書に従い、定期的に充電状態と動作を確認します。

選定・使用上の注意:電子レンジ、ケトル、冷暖房は急速に電力を消費します。避難経路・高温多湿を避け、充電中の異常発熱を確認。医療機器はメーカー適合を事前確認します。

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1.7 調理・加熱をせずに食事をとる

開封して食べられる長期保存食

製品例:IZAMESHI Deli(調理不要の長期保存食)

注目点:開封してそのまま食べられる惣菜などがあり、水や熱源を使いにくい状況でも食事を確保しやすい製品です。主食・副菜・パン等を組み合わせることで、味や栄養の偏りにも配慮できます。

活用の考え方:各住戸で最低3日分、できれば7日分を備えます。水や熱源が使えない場合に備え、開封後すぐ食べられる食品も組み合わせ、期限に合わせて入れ替えます。

選定・使用上の注意:賞味期限だけでなく、開封具の要否、必要水量、塩分、アレルギー、嚥下しやすさを確認。管理組合一括備蓄だけに依存しません。

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1.8 停電中も災害情報を受け取る

手回し・USB充電対応の防災ラジオ

製品例:ソニー ICF-B300等のFM・AM対応ラジオ

注目点:手回し、USB AC、太陽光の3方式で内蔵充電池を充電でき、乾電池でもラジオを使用できます。LEDライトとスマートフォンへの緊急給電機能も備えています。

活用の考え方:各住戸では受信状況と必要な電池を平時に確認します。管理室でも情報収集手段の一つとして備えることを検討します。

選定・使用上の注意:手回し充電によるスマートフォン給電は緊急用で、満充電を目的とする機能ではありません。ワイドFM対応、乾電池の種類、防水性を確認します。

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1.9 太陽光で充電手段を補う

折りたたみ式ポータブルソーラーパネル

製品例:Jackery SolarSaga 100W(JS-100F)

注目点:折りたたみ式で持ち運びやすく、Jackeryのポータブル電源への充電に加えて、USBでスマートフォンやタブレットへ直接給電できます。

活用の考え方:南向きで日陰の少ない場所に広げ、パネル角度を太陽に合わせます。ポータブル電源と端子・入力電圧が適合する組合せを選びます。

選定・使用上の注意:公称出力は好条件での値で、曇天、窓越し、影、設置角度で大幅に低下します。共用廊下・避難経路への設置や落下防止は管理規約と消防上の安全を確認します。

Jackery公式サイトで製品情報を確認する

1.10 通信機器の電池切れに備える

半固体電池を採用したモバイルバッテリー

全体説明:両シリーズとも半固体リチウムイオン電池を採用したモバイルバッテリーです。メーカーは約2,000回の充放電を想定しており、残量を1%単位で確認できます。数値はメーカー公表値で、使用環境により異なります。

個別製品:
① エレコム「DE-C85-5000シリーズ」:5,000mAh・最大22.5W。携帯性を重視する場合の選択肢です。
② エレコム「DE-C86-10000シリーズ」:10,000mAh・最大35W。充電容量を重視する場合の選択肢です。

活用・安全上の注意:平常時から残量を確認し、定期的に充電します。高温・水濡れ・衝撃を避け、布団の上で充電しません。膨張・異臭・異常発熱があれば使用を中止してください。発火しないことを保証する製品ではありません。

エレコム 半固体モバイルバッテリー公式情報 / 5,000mAh製品情報 / 10,000mAh製品情報

1.11 断水時にもトイレ環境を保つ

防臭・凝固できる簡易トイレ袋+着座しやすい携帯便器

全体説明:断水時は排水管の安全が確認されるまで便器へ流さず、排せつ物を袋に収めて保管します。各住戸は1人1日5回×7日分を目安に、袋と凝固剤を備えます。

個別製品:
① BOS「非常用トイレセット」:既設の洋式便器に袋をかぶせ、凝固剤と防臭袋で処理する用品です。
② ChairLET「折りたたみポータブル・シャワートイレ」:既設便器が使えない場所で、座れる便器を確保するための用品です。使用時には処理袋等の併用方法を確認します。

選定・使用上の注意:自治体の廃棄方法、使用済み袋の仮置き場所、凝固剤の期限を確認します。管理組合で共用の便器を備える場合は設置と清掃の手順も決めます。

BOS 非常用トイレ公式情報 / ChairLET 公式製品情報

1.12 地震後の通電火災を抑える

工事不要で取り付けられる簡易型感震ブレーカー

製品例:リンテック21「感震ブレーカー YAMORI」

注目点:分電盤に接着して取り付ける簡易型で、専門的な電気工事を行わずに導入できます。地震の揺れを感知すると主幹ブレーカーを遮断し、停電復旧時の通電火災を抑えるための製品です。

活用の考え方:各住戸で分電盤の形状と取付条件を確認し、避難訓練に合わせて作動確認と復旧手順を共有します。管理組合は、居住者への周知と一括購入の可否を検討します。

選定・使用上の注意:分電盤の種類や設置位置によって使用できない場合があります。作動すると住戸全体が停電するため、夜間の避難照明、医療・介護機器、冷蔵庫等への影響を事前に確認し、非常灯や予備電源を併用します。

YAMORI メーカー公式情報

1.13 停電時の暑さ対策を補助する

冷却ウェア・冷却タオル・首元冷却材・充電式扇風機

全体説明:停電時に身体を冷やす補助用品です。電源や水の要否、再使用の方法を確認して選びます。室温を下げるエアコンの代わりにはならず、水分・塩分補給と遮光も必要です。

個別製品:
① 空調服®:ファンで衣服内に風を送り、汗の蒸発を促します。電源が必要で、高温・高湿度では効果が限られます。
② MISSION「MAX PLUSクーリングタオル」:濡らして絞り、振って使うタイプ。電源が不要で、洗浄して繰り返し使えます。
③ PCMネッククーラー:製品ごとに決められた温度で固めて再使用します。再冷却できる環境を確認してください。
④ USB充電式卓上扇・ネックファン:送風用。充電手段と連続使用時間を確認します。
⑤ ペルチェ式冷却ベスト・ネッククーラー:接触部を局所的に冷却します。電源が必要で、冷やしすぎや結露に注意します。

使用上の注意:高齢者、乳幼児、持病のある人の暑さ対策を優先します。めまい、頭痛、吐き気、意識の変化があれば涼しい場所へ移動し、必要に応じて救急要請してください。

空調服®の仕組み(メーカー公式) / MISSION MAX PLUS公式情報 / 充電式扇風機の製品例

1.14 省スペースで防寒用品を備蓄する

A4サイズ程度で保管できる非常用圧縮毛布

製品例:足立織物「非常用圧縮毛布」

注目点:真空圧縮技術により、かさばる毛布をA4サイズ程度に圧縮した製品があります。書棚や引き出しにも収納しやすく、限られた防災倉庫や住戸内でも人数分を備えやすくなっています。

活用の考え方:管理組合は要配慮者や一時待機者向けに、各住戸は家族分を目安に備えます。保管数量、配布方法、開封手順を防災訓練で確認します。

選定・使用上の注意:製品によって素材、防炎性能、保存期間、再使用・再圧縮の可否が異なります。外装の破損や真空抜けを定期的に確認し、使用期限に合わせて更新します。

非常用圧縮毛布 メーカー公式情報

1.15 少ない電力で身体を暖める

日常の省エネにも使える電気毛布と、モバイル電源対応の着る電気毛布

全体説明:電気毛布は身体の周囲を局所的に暖めます。停電時は通常の毛布・防寒着を基本とし、電源に余裕がある場合に補助的に使用します。

個別製品:
① 山善「電気敷毛布 YMS-40」:AC100V・定格40Wの基本的な敷毛布です。
② 山善「YMS-PTS42/YMK-PTS62」:省エネぐっすりモード付きの電気敷毛布・掛敷毛布。定格や運転時の消費電力は型番ごとに確認してください。
③ 山善「くるみケット YKPD-15」:USB・PD対応の着る電気毛布。対応する電源の出力条件を確認してください。

選定・使用上の注意:ポータブル電源の使用可能時間は、消費電力と変換損失で変わります。就寝中の高温設定を避け、低温やけど、脱水、毛布やコードの異常発熱に注意してください。

電気敷毛布 YMS-40公式情報 / 省エネモード付き電気毛布公式情報 / USB・PD対応 着る電気毛布公式情報

2 管理組合と各住戸で進める検討手順

  1. 現状確認:非常用発電設備、給排水設備、防災倉庫、消防設備、浸水想定、管理規約を一覧化します。
  2. 優先順位付け:人命に直結する避難・火災対策を優先し、次に停電・断水時の生活継続を検討します。
  3. 小規模に試す:サンプルを用意し、防災訓練で重さ、操作、収納性を確認します。
  4. 役割を分ける:共用部、各住戸、要配慮者向けの備えを分けます。
  5. 毎年見直す:期限、廃番、居住者構成、設備改修を踏まえて更新します。

3 写真・著作権・商標・製品情報の取扱い

本記事には、メーカー等が権利を有する製品写真、ロゴ、カタログ図版、取扱説明書の画像を掲載していません。製品の外観や詳細は、各メーカーの公式ページで確認してください。

本文は、各メーカーが公表する製品名、仕様、数値、使用方法等の事実情報を参考に、倉持マンション管理士事務所が独自に整理・要約したものです。メーカーの商品説明文等をそのまま転載することは避けています。

知的財産権およびリンクについて
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参考:内閣府 防災情報のページ/東京都 防災ホームページ/総務省消防庁

防災用品は、購入するだけでは十分ではありません。保管場所を共有し、実際に取り出して使えるかを防災訓練等で確認し、使用期限・充電状態・製品の廃番や仕様変更を定期的に見直すことが大切です。

倉持マンション管理士事務所|マンション防災シリーズ 第5回