第1回 令和8年熊本地震から考える地震対策

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第1回|マンション防災

地震後も住み続けるために
マンションの「備蓄」と「在宅避難」

管理組合と各家庭で、今すぐ確認したい防災の基本

このたびの令和8年熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復旧と、皆様が平穏な生活を取り戻されることをお祈りいたします。

2026年(令和8年)7月28日、熊本県熊本地方を震源とする地震が発生し、熊本県内で最大震度7が観測されました。気象庁は、この地震と一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と命名しています。今回の地震を遠い地域の出来事として終わらせず、東京のマンションでも、地震後の停電・断水・エレベーター停止を想定し、備蓄と在宅避難の準備を見直す必要があります。

令和8年熊本地震を受けて、今確認したいこと

大規模地震では、強い揺れによる建物被害だけでなく、停電、断水、通信障害、エレベーター停止、給排水設備の損傷などにより、地震後の生活が長期間不便になるおそれがあります。特にマンションでは、建物が使用できる状態であっても、設備の安全確認が終わるまで水やトイレを使えない場合があります。

管理組合と各家庭で確認したい3項目
  • 飲料水、食料、携帯トイレ、医薬品など、在宅避難に必要な備蓄が不足していないか
  • 安否確認、情報伝達、災害対策本部の設置など、管理組合の初動ルールが決まっているか
  • エレベーター、受水槽、給排水管、共用電源など、設備停止時の対応方法が共有されているか

被災地の状況は時間とともに変化します。最新情報は、気象庁、内閣府、自治体などの公的機関から確認し、不確かな情報を拡散しないことも大切です。

1.大地震の後、マンションで何が起こるのか

大地震が発生すると、建物が倒壊しなくても、マンションの生活機能が止まることがあります。特に高層階や高齢者世帯では、日常生活への影響が長引く可能性があります。

エレベーターの停止

階段での移動が必要となり、水や食料の持ち運びが大きな負担になります。

停電・断水

照明、給水ポンプ、オートロック、機械式駐車場などが使えなくなる場合があります。

トイレの使用制限

排水管の損傷確認ができるまでは、各戸で水を流すことが二次被害につながる場合があります。

通信の混雑

電話やインターネットがつながりにくくなり、安否確認や管理組合からの情報伝達が難しくなります。

共用部分の被害

受水槽、給排水管、外壁、廊下、防火扉などの点検と安全確認が必要になります。

2.「在宅避難」とは何か

在宅避難とは、地震後に自宅の安全が確認できる場合、避難所へ移動せず、自宅で生活を継続する方法です。マンションでは、避難所の収容人数やプライバシー、感染症、ペット、高齢者の移動負担などを考えると、在宅避難を前提に準備しておくことが大切です。

在宅避難が可能か判断するポイント

  • 建物や住戸に倒壊・火災などの切迫した危険がない
  • 室内の家具転倒やガラス破損などを確認できている
  • 行政、消防、管理組合などから避難指示が出ていない
  • 共用部分の安全な移動経路が確保されている

危険がある場合は、在宅避難にこだわらず、指定避難場所や安全な場所へ移動してください。

3.各家庭で準備したい備蓄

備蓄は、家族構成、健康状態、ペットの有無、居住階によって必要量が異なります。まずは最低限の準備から始め、定期的に見直しましょう。

ポイント:備蓄品を一度に大量購入するのではなく、普段使う食品や日用品を少し多めに持ち、使った分だけ補充する「ローリングストック」が続けやすい方法です。

4.管理組合として準備すべきこと

各家庭の備蓄だけでは、マンション全体の混乱を防ぐことはできません。管理組合には、共用部分の確認、情報伝達、安否確認、設備の使用ルールなどをあらかじめ整理しておく役割があります。

① 防災マニュアルを作る

地震発生直後、発生当日、数日後の行動を分け、役員や防災担当者の役割を明確にします。

② 安否確認方法を決める

安否確認カード、マグネット、名簿、デジタル連絡網など、停電時にも使える方法を準備します。

③ 災害用トイレのルールを共有する

排水設備の安全確認前に水を流さないことや、携帯トイレの使用方法を住民へ周知します。

④ 共用備蓄を点検する

発電機、投光器、救助工具、担架、無線機などの保管場所、数量、使用期限、操作担当者を確認します。

⑤ 防災訓練を実施する

避難だけでなく、安否確認、災害対策本部の設置、携帯トイレの使用、情報伝達を体験する訓練が有効です。

5.築年数を重ねたマンションで確認したい防災上のポイント

  • 耐震診断・耐震改修の実施状況
  • 受水槽、給水ポンプ、排水管などの更新状況
  • 非常用電源や共用照明の確保
  • エレベーター停止時の高齢者・要配慮者への支援
  • 防災倉庫の場所、鍵の管理、備蓄品の使用期限
  • 居住者名簿・要支援者情報の更新方法

長期修繕計画と防災計画を別々に考えるのではなく、設備更新や大規模修繕の機会に防災性能を高める視点が重要です。

まとめ|防災力はマンションの資産価値になる

災害に強いマンションとは、備蓄品が多いマンションではありません。住民が災害時の行動を理解し、管理組合が情報と設備を適切に管理し、必要なときに協力できるマンションです。

令和8年熊本地震が示したように、大地震は日常生活を突然変えます。まずは「自宅で少なくとも数日間生活できるか」「トイレが使えないときにどうするか」「管理組合からどのように情報を受け取るか」を、ご家庭と管理組合の両方で確認してみましょう。

参考:首相官邸「熊本県熊本地方を震源とする地震についての会見」/気象庁発表(2026年7月28日)

次回予告:第2回「長期修繕計画と修繕積立金の見直し」